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医療機器プログラム(SaMD)の可能性を追求する | 武田薬品

医療機器とスマートフォンを持つ女性

医療機器プログラム(SaMD)の可能性を追求する

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2025年4月9日

注射器シリンジや吸入器、肌に貼るパッチ、点鼻スプレーなど、私たちは製薬企業として治療の助けとなるさまざまなデバイスを開発しています。現在では、デジタルテクノロジーの急速な進化により、病気の診断や予防、モニタリング、疾患の予測、予後の予想、治療、症状の緩和などで利用される医療機器プログラム(SaMD)と呼ばれるデジタルソリューションが登場しています。SaMDを活用したソリューションは、信頼性と正確性を担保し患者さんの安全性を確保できるよう、規制対象下に置かれています。

ヘレネ・ハールマン

ヘレネ・ハールマン(ペイシェント ヘルス エクセレンスチーム リーダー)

タケダ ペイシェント ヘルス エクセレンスチームのヘレネ・ハールマンは、SaMD開発に取り組む重要性を以前から訴えていました。「SaMD開発は、診断や治療管理、モニタリングなどの面で患者さんの利便性を大きく向上させるソリューションにつながります。私たちは、SaMDの規制要件を満たせるよう対応しています」と、ヘレネは述べています。

SaMDの開発は、アンメットニーズの理解を深めることから始まります。ペイシェント ヘルス エクセレンスチームは、患者さんがたどる過程とその疾患領域における医療エコシステムを分析し、「ここに対応すれば患者さんに貢献できる」と想定される問題点を特定します。「私たちは社内の関係者と部門を超えて連携するとともに、患者さんや医療従事者に協力を仰ぎながら、患者さんにプラスになりそうなソリューションを見つけて優先順位を付けています」と、ヘレネは言います。

Picture of Sriman Banerjee

「治療においても、モニタリングや診断の補助としても、治療をサポートするSaMDのニーズはどんどん高まっています。それは今後も続くでしょう。そして、テクノロジーの進化によって、SaMDが持つ可能性も拡大しています」

タケダ 診断、ソフトウェアデバイス&パッケージング開発のエグゼクティブディレクター兼ヘッドのスリマン・バナジー

こうしたアプローチは、ここ数年で成果が出つつあります。クローン病や血友病といった管理が難しい疾患に対して、私たちのソリューションが貢献できるようになってきました。

診断、ソフトウェアデバイス&パッケージング開発のエグゼクティブディレクター兼ヘッドを務めるスリマン・バナジーは次のように述べています。「治療においても、モニタリングや診断の補助としても、治療をサポートするSaMDのニーズはどんどん高まっています。それは今後も続くでしょう。そして、テクノロジーの進化によって、SaMDが持つ可能性も拡大しています」

ティム・モロイ

ティム・モロイ(コネクテッド&ソフトウェア デバイス リーダー)

コネクテッド&ソフトウェア デバイスのリーダーを務めるティム・モロイは次のように述べています。「現在は、ポケットにあるスマートフォンの中に、患者さんの生活に触れられるアルゴリズムやツールが数多くあります。医療機器と消費者家電の融合も進んでいます。私たちは、進化したテクノロジーを活用し、患者さんと医療従事者のためにイノベーションを起こそうとしています。それは243年前から私たちが続けてきた行動と同じです」

SaMDを治療の個別化に活用している事例を紹介します。

自己注射ガイドで患者さんに自信を


テクノロジーの進化だけでなく、医療制度への負荷が高まっていることなどを背景に、在宅自己注射の動きが高まっています。しかし、針への恐怖感や、痛みや正しく注射できないかもしれないという不安など、さまざまな障壁があります1

私たちはこうした状況を踏まえ、患者さんの在宅自己注射をサポートするテクノロジーやソフトウェアの開発を進めています。これらは、最新の注射器テクノロジー、スマート包装、ユーザーフレンドリーなコンパニオンアプリなどで構成される総合的な自己投与エコシステムとなるように設計されています。

この新しいテクノロジーは、患者さんのガイド役として薬剤の投与プロセス全体をサポートするものだと、ティムは説明します。「例えば、正しく注射できているかどうかもリアルタイムで患者さんにフィードバックされるし、注射をする度にそのことが自動で記録されます。現在も、自己注射をさらに簡単にするため、新たな機能の研究を進めています」

このコンセプトは、将来的にはより多くの患者さんに応用が可能です。これにより、自己注射の記録や治療管理に役立つ情報を取得できるようになると考えられます。

開発過程を合理化し、SaMD活用の幅を広げる


ジャクリン・ルーシャイン

ジャクリン・ルーシャイン(精密医療&デジタルヘルス部門 ディレクター)

ソフトウェアが医療機器の領域に入ると、米国食品医薬品局(FDA)や欧州連合の認証機関といった規制当局による審査が必要になります。この審査を通過しなければ提供できません。規制当局から承認を受けるには、信頼性の高い品質管理と検査が必要です。そのため、この分野に参入しようとする企業に高い基準が課されることになります。しかもこの規制に対応するための戦略は、複雑なものになりがちだと、精密医療&デジタルヘルス部門のディレクターであるジャクリン・ルーシャインは指摘します。

「SaMDに対する規制の枠組みは地域によって異なります。さらに、規制当局が求める市場での利用価値を示すエビデンスも、SaMD使用目的によって変動するリスクに影響を受けます。そのため、市場投入までの道のりも、開発スケジュールも、地域や製品によって大きく異なることがあります」

それでも患者さんの健康に貢献するためには、こうした研究開発に挑戦する必要があると、ティムは述べています。

「承認への道筋を付け、テクノロジーを確立することができれば、SaMDを他の疾患領域へ拡大させることも容易になります。より多くのSaMDソリューションを迅速に開発し、早い段階から治療を補完できるようになれば、こんなに嬉しいことはありません。治療薬の開発を担当する社内チームもSaMD開発において重要な役割を果たしており、嬉しい限りです」

スリマンは次のように締めくくりました。「SaMDという分野はまだ登場したばかりです。SaMDの承認プロセスを円滑に進め、体系化し、地理的に拡大していくには、品質と規制対応が非常に重要になります」

「私たちはSaMDソリューションで治療の個別化に貢献したいと考えています。そして、これが患者さんと医療従事者の両方に大きな変化をもたらすものになることを期待しています」


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